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2021-05-15

「土地の叡智を探求する」稀有なトラベルガイド

『トラベルUNA』最新号が発売になりました。

九州のアートとクラフトをめぐる旅。各地の文化やものづくりの現場を訪れるツアーやワークショップも含めての提案号です。

どうもこの本は、創刊号の頃からトラベルガイドっぽくないのです。

冒頭の編集長の言葉に「土地の叡智を探求する」とあるように、観光する側の都合や利便性に寄せるのではなく、土地にある本物に、ふれにきてほしいというスタンスが見え隠れする、気骨のある本です。

網中いづるさんのイラストや、カメラマン藤本さんの光のきれいな写真で彩られているものの。

今回私が担当させていただいたのは、冒頭の別府の記事12P。英訳も含めてのその分量に、アートや温泉の話だけでなく、戦後引き揚げ地だったこと、米軍キャンプがあったこと、トラスト運動の話、その頃の文化が今も随所に残ること…など、縦軸のみえるように書かせてもらいました。取材も、立体的にまちが見えるよう、アート関係者だけでなく、ただそこに暮らしてきた方含めて多くの方にお話伺わせてもらったり。そういうことを求めてくださる稀有な本です。

同じ特集の熊本県津奈木町のストーリーも、過去の被害から住民主体のアートが立上がってくる話でした。

そうした、少し深いところにふれる旅でないと面白いと思えない人たちに見ていただきたい本なのだと思います。(私見です)

ほか、九州各地のものづくりの方々をしっかり深堀りしています。よろしくお願い致します。

https://unalabs.jp/publishing/

写真:藤本幸一郎


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